概要
臨床心理iNEXTでは、「心理職の存在意義とは何か」を基本テーマとし、「心理職でしかできないこととは何だろうか？」を考えていくことを課題としています。特に「医学モデルとは異なる心理職の専門性とは何か」について、事例検討会を通して現場での実践から「心理職の存在意義」を確かめていく作業をすることを目標としました。
その手始めとして臨床心理iNEXT代表の下山晴彦がパニック発作を抱えた女性の事例を提示し、ユング派分析家資格候補生の大塚紳一郎氏と認知行動療法セラピストの田中恒彦氏を指定討論とした事例検討会を開催します。今回の事例検討会では、次のような観点から心理支援の技法を具体的に学ぶことを目指します。
事例検討会の目標①「医学的治療とは異なる心理支援の独自な技能を学ぶ」
医学モデルは、対話ではなく、診断によって心理的苦悩を「疾患」として分類し、問題を個人化します。そして、薬物療法でその疾患の管理を試みます。しかし、それは、苦悩の要因となっている「脅威」を隠してしまいます。心理的苦悩のパワーをエンパワーするのではなく、逆に診断と薬物治療を通して問題を個人化し、管理することが目標となります。
そこで、事例検討会では、医学的治療が有効でなかったパニック症の事例を取り上げ、パニック発作を引き起こす「脅威」とは何かを探ることを通して問題解決の支援をした事例を発表します。特にパニックの引き金となる「脅威」とは何かを探ることを目標としました。
事例検討会の目標②「ケースフォーミュレーション技能を学ぶ」
心理職の原点は、対話を通してサービスの利用者の語りをしっかりと聴き取り、クライエントと協働してその問題の成り立ちを明確にしていくことです。そのためには、クライエントとの間で信頼関係を形成するとともに、それを基盤として問題に関連する情報を収集する初回面接の技法、そして収集した情報を分析し、再構成して問題の成り立ちを明らかにするケースフォーミュレーションの技能が必要です。エビデンスベイスト・プラクティスの理論ではパニック症に対しては暴露妨害反応法が有効であるとされています。しかし、現場での実践においては個々の事例の現実に即して技法を調整して適用する技能が必要となります。それを可能にするのがケースフォーミュレーションの技能です。
本研修会では、特定の事例を通して、何がパニックを引き起こす「脅威」なのかを具体的に明確にし、介入法を策していくケースフォーミュレーションの実際を学ぶことを目標としました。
事例検討会の目標③「日本の文化・社会で有効な技能を開発する」
欧米で開発され、実践されている心理支援技法（例えば精神分析や認知行動療法など）は、個人主義の自我を前提としています。しかし、日本の文化・社会（特に生活場面）では集団主義の傾向が強く、自我は弱いです。むしろ、本音と建前を使い分け、建前では、周囲の空気を読み、期待に応える過剰適応の傾向が強いです。その結果、幼い頃より、不安、不満や怒りは抑圧され、時に本音として表出されます。しかし、その多くは、無意識の表現や問題行動として示されます。そこで、日本の心理支援を発展させるためには、日本特有の「本音と建前」、「意識と無意識」の多重構造を前提とする心理支援の技能が必要となります。
適応重視の認知行動療法だけでなく、無意識を含めた自己のテーマを扱う精神分析やユング心理学の技法を含めた心理支援の技能を開発する必要があります。
本事例検討会では、認知行動療法とユング心理学のセラピストに指定討論を依頼して学派を変えた技能開発的な議論をすることを目標としました。
ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしています。
日程とプログラム
2024年7月28日（日） 9時〜12時
（Zoomによるオンライン・セミナー）
パニック症の事例検討によるケースフォーミュレーション技能研修
−認知行動療法とユング心理学との対話を通して−
■事例発表 下山晴彦（跡見学園女子大学教授／臨床心理iNEXT代表）
「慢性化したパニック発作で苦しむ27歳女性の心理支援」
−幼児期に「もらい子不安」「一人の恐怖」「悪夢」のあった事例−
■指定討論１「認知行動療法の観点から」田中恒彦（新潟大学准教授）
■指定討論２「ユング心理学の観点から」大塚紳一郎（大塚プラクシス主宰）
参加費
臨床心理iNEXT有料会員以外・一般：￥3,000 定員：150名
税込み：￥3,000（税抜き：￥2,728 税：￥272）
※フロンティア会員（無料会員）の方は、このページからお申し込みください。
★有料会員以外・一般の方のリアルタイム視聴の申し込みページです。オンデマンド視聴は含まれておりません。
iNEXT有料会員の方：￥1,000（税抜き：￥910 税：￥90）
こちら【iNEXT有料会員専用】よりお申し込みください。
申し込み締め切り
2024年7月23日（火）24:00
（同日時をもちまして本申し込みページが無効となります。定員に達した場合には、締め切り日を待たずに無効となります。）
※ Zoom URL等は、7月24日（水）にご登録メールアドレス宛に配信する予定ですので、必ずメールの内容をご確認ください。
※ 上記を過ぎても当日のご案内が届いていない場合は、迷惑メールをご確認ください。 見当たらない場合7月26日（金）12：00（正午）までに<user-support@cpnext.pro > までお知らせください。
※ 当日参加できない方に向けて「オンデマンド視聴のお申込み」を設けております。
参加費用：￥3,000（税抜き：￥2,728 税：￥272）
注意事項
- 本申込みページは、臨床心理iNEXT「有料会員以外・一般」の方が対象です。
- リアルタイム視聴にお申込の方には、オンデマンド動画は配信されません。
- 7月24日（水）にご登録メールアドレス宛にZOOM URL等のご案内をお送りします。
- お申し込み後のキャンセル・返金は受け付けておりません。日程と申し込み種別を必ずご確認のうえ、お申し込みください。
- お申し込みの重複やメールアドレスの誤入力にご注意ください。誤って重複申し込みされた場合でも返金は出来かねます。
- 急用やご自身の機器・回線の不具合、その他諸事情により、当日参加されなかった場合や途中入場・退出となった場合でも返金やオンデマンド視聴への振り替えはできません。
- 本研修会に関するお問い合わせは、 7月26日（金）12:00（正午）までに、Eメールにて<user-support@cpnext.pro> 宛にお送りください。土日祝日や直前・当日の対応はいたしかねます。
- お支払いはクレジットカード払いのみ、回収会社はクエスト・コンピュータになります。