催眠療法が摂食障害に効果が期待できる理由


 摂食障害は、食事や体重の問題だけでなく、不安・緊張・自己否定・感情の抑え込みなど、心の深い部分と強く結びついている状態です。

 そのため、頭で理解しようとするだけでは、なかなか苦しさが軽くならないことも少なくありません。

 催眠療法は、こうした意識ではコントロールしにくい心の反応に働きかける方法です。




① 強い不安や緊張を和らげやすい

 摂食障害の背景には、常に高い緊張状態や不安があります。

 催眠療法では、深いリラックス状態をつくることで、

・張りつめた心身の緊張

・「食べること」への過度な恐怖

・自分を責め続ける思考

 を、無理なくゆるめていくことができます。




② 「食行動=安心を保つ手段」という無意識の結びつきに働きかけられる

 摂食障害の行動は、多くの場合、

・食べないことで安心する

・食べることで感情を抑える

・体重を管理することで心を保つ

 といった、無意識の安全装置として身についています。

 催眠療法では、「食べる・食べない」以外にも、安心できる状態があることを、心と体に体感として伝えていきます。




③ 自己否定や完璧主義をゆるめやすい

 摂食障害の方には、

・自分にとても厳しい

・完璧でなければならない

・少しの失敗も許せない

 といった傾向が見られることが多くあります。

 催眠状態では、こうした強い自己批判の声から少し距離を取り、「責めなくても大丈夫な感覚」を育てていくことができます。




④ 感情を安全に感じ直すことができる

 摂食障害は、「感じてはいけない感情」を、食行動で処理している状態とも言えます。

 催眠療法では、

・不安

・悲しさ

・怒り

・さみしさ

 といった感情を、危険ではないものとして、少しずつ感じ直すサポートを行います。

 その結果、食行動に頼らなくても、気持ちを保ちやすくなります。




⑤ 「自分を守る感覚」を取り戻しやすい

 回復に向かう上で最も大切なのは、自分をコントロールすることではなく、自分を守ることです。

 催眠療法は、

・自分の体の感覚を信じる

・無理をしていることに気づく

・安心して休んでいいと感じる

 といった、回復の土台となる感覚を育てる助けになります。



 摂食障害は、「甘え」や「わがまま」ではなく、生きるために心が必死に身につけた対処の形です。

 催眠療法は、その苦しさを否定せず、安心できる別の道を一緒に探していくためのサポートです。